感想
YouTubeを見ていてたまたま流れてきて思わず見入ってしまった「今村翔吾」氏のインタビュー。
かなり喋れる人なので面白く感じるのもあるのだが、作品を分析して作る人なので解説を聞いていて面白い。
最近のネットのアルゴリズム対策の流行りではあるのですが、冒頭に山場を持ってきてとにかく興味を引く作品が多いです。
Netflixもとにかく冒頭に人が死んだり事件が起こったりなど何かしら起こる。音楽配信サービスのSpotifyも人気が出やすいのは最初にサビを持ってくる楽曲らしい。
そんなことを分析研究して作品を作っている。Netflixで映像化した「イクサガミ」がNetflixが作りたくなるように、Netflixの作り方に沿った物語にしたというのだ。
芸術家というより商業化アニメや作品の考え方をしていて、なるほどなと思うことが沢山ある。
もし受ける作品を作りたいと思っている人(監督やプロデューサーなど)は見る価値があると思いますのでおすすめです。
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以下まとめ
以下youtubeや調べた情報のまとめ。youtubeを見る時間がないよ!って人はざっくりみるのにお使いください。
今村翔吾という作家——戦略的エンタメと「業界を守る」という使命
はじめに
1984年京都府生まれの今村翔吾は、ダンスインストラクター、作曲家、滋賀県の埋蔵文化財調査員を経て2017年に小説家デビューし、2022年に『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞した。わずか5年でのトップ到達は異例の速さだが、それは偶然ではない。創作においても、ビジネスにおいても、今村は徹底して「計算された戦略」で動く人物だ。 Wikipedia
1. 創作論——「大衆に愛されること」を最上位に置く
今村翔吾の創作姿勢を一言で表すなら、「エンタメに振り切る覚悟」だろう。
歴史小説という伝統的なジャンルに身を置きながら、彼が常に意識しているのは「いかに若い世代を取り込むか」という問いだ。YouTubeのReHacQでの対談でも、Netflixのヒット作を分析して「開始何分で事件が起きるか」を調べ、そのテンポ感を自作のページ数に変換したと明かしている。代表作『イクサガミ』では、明治時代を舞台に侍たちが繰り広げるデスゲームという設定を採用し、山田風太郎を意識した派手なアクションシーンが特徴となっている。 Wikipedia
とりわけ今村が重視するのが「王道(ベタ)を恐れない」姿勢だ。多くのクリエイターが奇をてらった設定に走るなか、むしろ「多くの人が好む王道を攻めることで市場の空きスペースを突く」という逆張り的な発想を持っている。これは商業的な割り切りではなく、「大衆に愛されることが一番の正義」という深い信念に根ざしている。
また、物語の発想源として「現代社会の問題から逆算する」という方法論も持つ。ACジャパンのCMで取り上げられるテーマを「今の日本に欠けているもの」として読み解き、そこを作品のテーマの起点にするという。たとえば差別や異物への恐怖というテーマを平安時代の「鬼」の物語へと接続した『童の神』はその典型だ。
2. 圧倒的な執筆量とスピード——「75点」を出し続ける哲学
今村の創作姿勢には、根性論的な側面も色濃い。デビュー前は発掘調査員として働きながら、睡眠時間3時間の生活を1〜2年続けて原稿を書き続けたという。2017年のデビュー以来、吉川英治文学新人賞、山田風太郎賞、吉川英治文庫賞、そして直木賞と、連続して主要な賞を受賞し続けた。 Zusyu
彼の持論の一つが「毎回100点を狙うよりも、コンスタントに75点のヒットを出し続けることで、依頼が途切れない信頼を築ける」というものだ。これは単なる処世術ではなく、大衆作家としての自己定義でもある。書けば書くほど筆力が磨かれ、読者との関係も積み重なる。その積み重ねをいかに途切れさせないかが、生き残りのカギだという考え方だ。
3. 代表作『イクサガミ』——時代小説×デスゲームの衝撃
オーディオブック化のほか、2022年には『モーニング』でコミカライズされ、2025年にはNetflixでWebドラマ化されるなど、幅広いメディアミックスが展開された。主演は岡田准一、監督は藤井道人。今村は執筆当初から「Netflixしか映像化は無理」と編集者と話し合っていたといい、そのオファーが実現したことに大きな手応えを感じたと語っている。 Wikipedia
岡田准一は「今村先生の小説は時代モノの核を大切にしながらも攻めていくエンタメ性があり、いまの人々も楽しめる作りになっている」とコメントした。時代小説という”高い壁”をエンタメの力で突破した作品として、業界内外からも高い評価を得ている。 Netflix
4. 書店経営——「議論より行動」の体現
今村の活動で特筆すべきは、作家でありながら書店経営に本格参入している点だ。
2021年11月に大阪府箕面市の「きのしたブックセンター」を引き継いだのを皮切りに、2023年12月には佐賀市に「佐賀之書店」を、2024年4月には東京・神保町にシェア型書店「ほんまる」をオープンした。 Bunshun
その動機は、ロマンティシズムと経営感覚の両立にある。「本に、そして本屋さんに育ててもらった」という感謝の気持ちが根本にあり、町から書店が消えることへの危機感が彼を動かした。一方で財務諸表も自ら確認し、各店舗の日報や売上を毎日チェックするという徹底した経営者ぶりも持つ。 Nikkei
「ほんまる」のビジネスモデルはとりわけユニークだ。棚のサブスクリプション収益が主軸で、初月から40万円の黒字を達成し、その後は月100万円強の営業利益を維持した。書店という”聖域”に、サブスク型の安定収益モデルを持ち込んだ先駆的な試みとして注目を集めている。 Nikkei
さらに今村の視野は、個別書店の経営にとどまらない。「僕が死んだ時に、今村翔吾がいたのといないのじゃ、出版業界って結構違ってたかも、と言われたい」という言葉に、この活動全体に流れる使命感が凝縮されている。 Bunshun
5. AI時代の「人間ブランド」論
AIが文章を生成できる時代における作家の役割についても、今村は独自の見解を持つ。
誰でも高品質なものが作れるようになればなるほど、「誰が書いたか」という個人のブランドや信頼こそが最も重要になる、というのが彼の主張だ。日本の「八百万の神」の考え方に通じる、人の手を通した作品に宿る「温かみ」には価値が残り続けるという。さらに自身の過去のインタビューや執筆データをAIに読み込ませて「今村翔吾AI」を作るプロジェクトも検討するなど、AI技術への拒否感ではなく共存の方向性を模索している。
デジタル時代だからこそサイン会などの直接交流によるアナログな口コミの信頼性が増す、という逆説的な洞察も印象的だ。
おわりに——「作家」と「経営者」を統合する人物
今村翔吾を理解するうえでの核心は、「ロジカルな戦略家」と「業界への熱い使命感」が矛盾なく同居している点だ。著作の累計発行部数は226万部を突破し、Netflixによる世界配信も実現した。しかしそれで満足するのではなく、書店という業界インフラそのものを変えようと動き続けている。 Rinen-mg
「大衆に愛されることが一番の正義」という信念と、「出版業界に変革を残して死ぬ」という覚悟。この二つを同時に抱えながら全力で走り続ける今村翔吾は、現代の時代小説界において作家以上の存在になりつつある。

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